過去の企画展:1995年度

 
 

子どものための美術展'95 美術の光/光の美術

会期:1995年4月22日-5月28日

 光は、私たちの身近にあって、美術の表現上重要な意味を持っている。本展は光をテーマに児童、生徒をはじめ、一般の人にとっても好適な美術鑑賞入門の展覧会として企画された。
 夕焼けや夜の風景、明るい戸外の光を描いた印象派の風景画、光と影の効果を巧みに描いた作品など、光をめぐる様々な作品を、表現上のポイントをふまえながら鑑賞できるよう展示に工夫を凝らして紹介した。
 また、写真、ガラス工芸のように光と密接に関わる作品やレーザー光のような光そのものを表現手段としたライト・アートを含めて55点が展示された。さらに、子どもたちが、実際に身体を動かして楽しむうちに鑑賞の手がかりが得られるような遊びのコーナーも設けた。
 

アンドリュー・ワイエス展 アメリカの郷愁—心の風景を描く

会期:1995年6月10日-7月16日

 20世紀アメリカ美術を代表する画家、アンドリュー・ワイエス(1917- )は、東部のペンシルヴェニア州チャッズ・フォードに生まれ、自らが生活する片田舎の田園風景や、そこに生きる人々の姿を独特の透徹した写実表現で描いた作品で知られている。父は今世紀の初頭に活躍した高名なイラストレーターの N.C.ワイエスであり、その指導により早くから画才を発揮したワイエスは、家族や隣人との絆の中から育んだ人生への深い洞察を通して、不思議な静寂をたたえた神秘的ともいえる絵画世界を生み出している。
 本展覧会は、こうしたワイエスの半世紀にも及ぶ画業を、初期から最近作にいたる代表的作品によって回顧するもので、日本における過去最大の展観といえる。
 中でも夏の避暑地メイン州クッシングを舞台とするクリスティーナ・オルソン家にまつわる作品、郷里チャッズ・フォードの隣人カール・カーナー家をめぐる作品など、ワイエスの代表的シリーズが中心となり、これに若き娘シリ・エリクソンや成熟した婦人ヘルガ・テストーフをモデルとした作品群が加わって、ワイエス絵画の中心テーマがほぼ網羅された内容となったことは特記されてよい。油彩・テンペラ51点、ドライブラッシュ37点、水彩・素描53点の合計141 点で構成された本展は、ワイエス芸術の全貌をうかがい知る希有な機会であり、20世紀アメリカ写実絵画の高い水準を具体的に示す展覧会であった。
 

マイヨール展 地中海の美神たち

会期:1995年7月22日-9月10日

 ロダン、ブールデルと続くフランス近代彫刻の系譜を受け継いだ巨匠、アリスティード・マイヨール(1861-1944)。地中海に面した南フランスの港町に生まれた彼は、はじめ画家を志し、ゴーギャンを信奉するナビ派のグループに加わり、絵画やタピストリーの制作に打ち込む。しかし30代半ば頃から彫刻家に転じ、初めての個展でロダンに「レダ」を絶賛されたほか、サロンに初出品した「地中海」が大成功をおさめて、広く一般に認められるようになった。彼が生涯にわたり追求し続けた、量感あふれるおおらかなフォルムの女性像は、ギリシア彫刻にも通じる清新な肉体美と、近代的な造形感覚とを統合するものであったといえる。
 本展は、1995年1月、パリに開館したマイヨール美術館の全面的な協力のもと、マイヨールの没後50周年を機に開催された。マイヨールの代表作「レダ」「イル・ド・フランス」をはじめ、日本初公開の彫刻18点、版画やデッサンも加えた93点が一堂に会し、豊かな彫刻美の世界を紹介した。
 

歌舞伎の衣裳展

会期:1995年9月19日-10月22日

 歌舞伎は、江戸時代のはじめから現代まで続く日本の伝統芸能であり、庶民の熱烈な支持を受けながら江戸、京、大坂の三都はもとより、日本各地で演じられてきた。
 歌舞伎の魅力は、役者の存在とともに華やかな衣裳に負うところが大きい。歌舞伎の衣裳は、役柄を表す重要な役割をもち、意匠の大胆さや舞台映えのする華やかさによって人目をひきつける。
 歌舞伎衣裳は、使用条件が苛酷であるため、古い衣裳は残らないと思われてきた。しかし近年の調査によって、地芝居に用いられていた衣裳類が残されていることが知られるようになり、中には江戸時代後期につくられた衣裳も現存している。これらの衣裳は、現在の私たちの発想をはるかに超えた斬新で大胆なデザインであり、染めや織り、刺繍などの染織工芸の視点からも貴重な高度の技術がみられ、なによりも圧倒的な力強さに満ちている。
 本展では、三都を代表して歌舞伎の中心地である江戸の華麗で粋な衣裳と、全国各地に伝えられる地芝居の衣裳百余点を紹介。歌舞伎の魅力に触れ、歌舞伎を支え続けてきた庶民のエネルギーや美意識を再認識する良い機会となった。
 

珠玉の陶芸 板谷波山展

会期:1995年10月28日-11月26日

 板谷波山(1872-1963)は、近代日本を代表する陶芸家の一人である。東京美術学校に学んでのちアール・ヌーヴォーなどのデザインを研究し、陶磁器の意匠改革をなしとげた功績は高く評価されている。一方では新しくもたらされた西洋の焼成、釉薬の実験にも取り組んで「葆光彩磁」をはじめとする独自の技法を作りだした。これらの新しい試みによって、陶磁器が絵画、彫刻と肩を並べる芸術として認められたといえよう。微妙な色調と細やかな浮き彫りから生まれる波山作品の格調の高い美しさは、他の追随を許さない。
 本展では葆光彩磁のほか、白磁、青磁、辰砂、天目から西洋のマジョリカ写しまでの代表作によって、波山芸術の全貌、ひいては近代陶芸の誕生を捉え直そうとするものであった。また波山夫人・まる(1870-1958)は会津坂下町の出身であり、夫人を介しての波山と福島のつながりを紹介する機会ともなった。
 

福島の新世代'96

会期:1996年1月27日-3月10日

 福島県立美術館では、これまでに「現代東北美術の状況展」「福島の美術家たち」展など、様々な展覧会を通じて、福島県出身、在住、ゆかりの美術家の制作活動を広く紹介してきた。本展は、その後を受け、福島県に深い関わりをもつ、近年充実した創作活動を繰り広げる気鋭の作家を積極的にとりあげていこうとするものであった。
 20世紀末を迎えてますます多種多様な価値観が存在し、混沌とした現代の美術界にあって、作家たちは自らの進むべき道をそれぞれに模索している。本展ではこのような状況下で新たな表現や造形を追求し、独自の作風を確立、展開しようとしている作家に焦点をあてた。様々な美術の分野の中で、現在最も注目される9名の作家の作品84点によって、彼らの真摯な創作の世界を紹介した。
 出品作家は以下の通り。
 安藤栄作(1961-)東京都出身/いわき市在住
 坂本郁夫(1953-)相馬郡新地町出身・在住
 藤田邦統(1964-)西白河郡矢吹町出身・在住
 山田善三(1953-)耶麻郡塩川町出身・在住
 北郷 悟(1953-)いわき市出身/東京都在住
 山中 現(1954-)喜多方市出身・在住
 阿部直人(1952-)耶麻郡塩川町出身・在住
 玉川信一(1954-)河沼郡会津坂下町出身/つくば市在住
 高橋幸彦(1947-)双葉郡富岡町出身/東京都在住
 
 











福島県立美術館
Fukushima Prefectural Museum of Art


〒960-8003
福島市森合字西養山1番地
Tel.024-531-5511
Fax.024-531-0447
 
 

検索

開館スケジュール




=休館日