過去の企画展:1993年度

 
 

安野光雅展 旅と遊びのふしぎな絵本

会期:1993年4月17日-5月30日

 安野光雅は、1968年に「ふしぎなえ」でデビューして以来、「さかさま」「ABCの本」など錯覚やだましの要素を駆使した絵本で知られている。そこに繰り広げられる知的なしかけと遊び心あふれる世界は、絵本の領域を子供のみならず、大人も楽しめるものへと広げた。
 このような初期のいわゆる<不思議な絵>のシリーズに続いて、日本国内各地や世界各地への旅の経験にもとづいた絵本が作られた。尾瀬や乗鞍の自然に思いを込めた「野の花と恋人たち」、絵本による紀行といった「歌の絵本」「旅の絵本」など抒情性豊かな風景画のシリーズである。
 本展は、これら安野光雅の絵本の原画から代表的な作品270点余りを展示するほか彼の考案したさまざまなおもちゃもあわせて展示し、大人から子供まで楽しめる内容のものとした。
 

黄金時代の画家たち アメリカン・イラストレーション展

会期:1993年6月12日-7月11日

 19世紀後半から20世紀前半にかけてのアメリカでは、教育や社会啓蒙の活動が活発化するのにともない、一般大衆向けの本や雑誌、新聞の発行部数が飛躍的に増大し、知的産業としての出版業界がめざましい成長を遂げた。こうした時代に、さまざまな印刷物を通じてすぐれた画家やイラストレーターたちが数多く輩出し、アメリカ独自の<イラストレーションの黄金時代>が築かれたのである。
 本展は、アメリカン・イラストレーションの父とされるハワード・パイル、アンドリュー・ワイエスの父として知られるN.C.ワイエスなど草創期の画家から、ノーマン・ロックウェルにいたる黄金時代のイラストレーション6人の作品原画87点により、アメリカ大衆文化とともに発展したイラストレーションの魅力と意義をさぐるものであった。
 

バルビゾン派と日本 ミレー、コローから近代日本の洋画家たちへ

会期:1993年7月24日-8月29日

 19世紀半ば、フォンテーヌブローの森の一隅にあるバルビゾン村に集い、美しい自然とそこに生きる人々や動物の姿をありのままに描き出していった、ミレーやコロー、ルソーなどのバルビゾン派。日本に彼らの芸術がもたらされたのは、明治9年、バルビゾン派の影響を受けたイタリア人画家フォンタネージが来日し、工部美術学校で本格的な美術教育を始めてからのことであった。高橋由一、浅井忠らの教え子たちはその授業の中でバルビゾン派を初めて知ったのである。時が下るとミレーを中心としたバルビゾン派は、美術雑誌、画集、伝記などで相次いで紹介され広く日本に浸透していった。また、黒田清輝を筆頭に和田英作、浅井忠、児島虎次郎ら多くの画家たちがフランスに留学するようになり、バルビゾン村近郊のグレー村に集って風景画の制作に励んだ。
 本展では、今日にいたるまでに日本に将来されたバルビゾン派の作品とともに、フォンタネージと彼の教え子である高橋由一、浅井忠らの作品や、黒田清輝、和田英作らグレー村に集った画家の作品、原田直次郎、赤松麟作らによるバルビゾン派を模写した作品など、103点を一堂に展示し、バルビゾン派と近代日本の洋画家たちとの様々な関わり方、影響関係について検証した。
 

生誕100年 木村荘八展 大正ロマンと回想的風俗

会期:1993年9月11日-10月17日

 大正から昭和にかけて活躍した画家木村荘八(1893-1958)は、<ヒュウザン会>や<草土社>などの大正期前半の革新的な美術グループに加わった個性的な画家であり、海外の美術書を積極的に翻訳紹介し、同時代の人々に美術の知識を提供するという役割を果たした美術評論家でもある。また、挿絵画家として永井荷風の「墨東綺譚」や船橋聖一の「花の生涯」をはじめ数多くの名作を遺し、刻々と変貌していく東京という都会とそこに現れる風俗を、絵と文章によって克明に記録した晩年の著作「東京繁昌記」では芸術院賞恩賜賞を受けている。一方、芝居や花柳界などの日本の伝統的な世界を油絵や日本画で描いた画家という側面も持ち、その他歌舞伎の舞台装置の考案や映画の美術考証の仕事、趣味の世界では小唄の師匠としても知られている。
 木村荘八の生誕100年を機に開催した本展は、練馬区立美術館との共同企画により実現したものであり、美術、文学、演劇、映画などにまたがる幅広い活動を繰り広げた近代美術有数の才人木村荘八の仕事を、その油彩画と素描を中心に紹介した。
 

現代の染織 素材と技の美

会期:1993年10月30日-12月5日

 日本の染織は、素材の多様性、技術の高さ、意匠の斬新さなど見るべきところが多く、生活の用にかなうだけでなく、長い間に私たちの思考や美意識にも大きな影響を与えてきた。現在では多様な素材を目的に応じて比較的容易に手に入れることができるが、その反面、素材本来の状態や性質、またそれを生かす人々の智恵と技を、日常生活の中に見いだすことが難しくなっている。
 本展は、布を構成する最も基本的な要素である<素材>と<技>に焦点をあて、27人の染織家の作品と参考資料によって現代の染織の状況を見直してみようとするものであった。
 糸を作り、織り、染めるという行為が日常的なことではなくなりつつある現在の私たちにとって、素材そのものの美しさ、無数の人間の英知、技の意味を再確認する機会となった。
 

アール・デコの世界 モダン都市のファッションとデザイン

会期:1994年1月15日-3月13日

 1920年代は今日の都市文化が誕生した時代である。工業の発達による機械文明が浸透し、マス・メディアが発達し、自動車、電化製品などが大量に社会に送り出された。女性たちがモダンなファッションに身を包み、社会に進出したいわゆる「モボ・モガ」の時代が到来したのである。この時期パリに花開いた装飾様式がアール・デコで、この名は1925年のパリ現代装飾美術・産業美術国際博覧会より後世名づけられたものである。19世紀末のパリを彩ったアール・ヌーヴォーの曲線主体のデザインとは対照的に、直線を主体とした幾何学的な構成、原色を多用したデザインが特徴とされ、スピードの時代、機械の時代にふさわしい機能と装飾の融合をみることができる。
 本展は都市生活を彩ったアール・デコのさまざまな側面を、女性のファッションやアクセサリー、家具、ポスター、ガラス工芸などにより紹介するもので、現代の都市文明の原点ともいえるアール・デコの世界を多面的に展観するものであった。
 
 











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