過去の企画展:1990年度

 
 

ワイエス展 ヘルガ

会期:1990年4月1日-5月10日

 アンドリュー・ワイエス(1917- )は、自然やそこで生きる人々の姿を独特の透徹した写実表現で描き、今日のアメリカにおけるリアリズム絵画の巨匠として世界的に知られる画家である。そのワイエスがひとりの女性ヘルガ・テストーフをモデルに15年間も描き続けた作品ヘルガ・シリーズの存在が近年明るみに出て、世界の美術界を騒然とさせた。唯一人の女性を長期間描き続けた、アメリカ絵画史上でも非常に稀なこのシリーズは、テンペラ、ドライブラッシュ、水彩、鉛筆素描を含めると総数240点以上にのぼる。
 本展は、その中から選ばれた主要作品126点を日本で初公開するもので、「編んだ髪」「ヘルガの顔」「裸のヘルガ」「眠る」「秋」など30余りのテーマによって構成された。
 

ヒトのかたち美のかたち 現代美術にみる人体表現

会期:1990年5月19日-6月27日

 遠いギリシャの昔から、芸術家たちは人間と人体に関心をよせ、理想の美を表現しようと努めてきた。機械文明の時代と言われている現代においても、やはり芸術家たちにとって人間とその身体は、最も興味ある対象のようである。
 現代の芸術家たちは、人体の全体像だけでなく、頭、目、耳、唇、胸、お腹、手、お尻、足など人体の各部分をとらえたり、歩く、走る、食べる、あるいは笑う、泣く、怒るといった人間の根源的な動きや表情などに関心をよせている。そして、人のかたちを抽象化し記号のように扱ったり、作品を構成する一つの要素として装飾的に扱ったり、人体をいろいろなかたちに変えている。
 この展覧会では、人間の見せる様々なしぐさや表情、あるいは人体の各部をとらえ、現代の美術の技法によって表現した作品約80点を集めた。ヒロイックな面とユーモラスな面を合わせもつ人間の面白さや人体の美しさを発見し、それとともに現代の多様な表現に親しむ機会となった。
 

シャガール名作版画展

会期:1990年7月7日-8月19日

 1887年7月7日、白ロシアのヴィテブスクに生まれたマルク・シャガール(1887-1985)は、いまや世界で最も親しまれている画家の一人といってもよいであろう。100年近い生涯を送ったシャガールは、数多くの版画作品を制作したことでも知られている。その作品総数は2,000点にも及ぶといわれ、質量ともに今世紀の版画作家としては群を抜く存在といえよう。
 一口に版画といっても、様々な技法があるが、シャガールは石版(リトグラフ)、銅版(エッチング、ドライポイント、アクアチント)、木版、リノカット、モノタイプなどあらゆる可能性に挑み、没年の1985年まで旺盛な創作意欲は衰えることがなかった。
 この展覧会は、シャガールが制作した版画のなかでも特に有名な「サーカス」「死せる魂」「ダフニスとクロエ」「オデュッセイア」の連作を中心に、250点の作品を選び展示したもので、<版画家シャガール>の全貌を紹介するものであった。
 

世田谷美術館所蔵 塩田コレクション 北大路魯山人展

会期:1990年8月25日-9月23日

 明治16年京都に生まれた北大路魯山人は、大正・昭和にかけて、書・篆刻をはじめ、陶芸・漆芸などの多方面にわたり個性的で独自な世界をつくり上げた豪放多彩な芸術家として知られている。大正末期から東京赤坂の料亭・星岡茶寮の顧問として活躍して以来、魯山人は北鎌倉に星岡窯を築いて作陶をはじめ、食と器の調和を求めながら伝統や習慣にとらわれない自由な陶芸をめざした。
 本展は、<昭和の光悦>とも呼ばれた魯山人芸術の精華を、世田谷美術館所蔵塩田コレクションの陶器、日本画、書など約150点によって紹介した。
 

人の暮らしと自然を描く 酒井三良展

会期:1990年9月29日-11月4日

 酒井三良は大正から昭和にかけて活躍した日本画家である。明治30年福島県の会津地方に生まれた三良は、大正時代に「雪に埋もれつつ正月はゆく」や「災神を焼く残雪の夜」などの雪国の情景を描いた作品を発表して注目され、以後院展を舞台に活躍した。初期の山村の年中行事を描いた色彩豊かな作品から晩年の水墨による作品まで、一貫して純粋で情趣豊かな独自の世界が描かれている。俳人としても知られた三良の作品には、自然に包まれながら生きる人々の素朴な姿が記録されており、今も多くの人々に親しまれている。
 この展覧会は、独自の世界を描き続けた酒井三良の院展の出品作を中心に、これまでほとんど紹介されることのなかった初期の作品などを展示し、その画業をふりかえった。
 

ローマ発 大型銅版画への挑戦

会期:1990年11月10日-12月9日

 第二次世界大戦以降の版画史は、シルクスクリーンやリトグラフを用いた大胆で実験的な表現技法の開拓によって多様な展開を見せてきたが、ルネサンス以来の伝統的な技法である銅版画は、戦後版画史の上ではあまり顧みられることがなかった。しかし、イタリアの版画工房のひとつである2RC版画工房は、特殊な印刷機材を開発することによって、大型の銅版画制作を可能にし、また、現代を代表する著名な芸術家たちに大型銅版画の制作を勧めてきた。2RC版画工房は、現代美術の作家たちとの共同作業を通じて斬新な作風の大型銅版画を数多く生み出してきたのであった。
 この展覧会は、33名の美術家が2RC版画工房で制作した100点の作品によって、2RC版画工房と現代美術の作家たちの挑戦した銅版画を紹介するものであった。
 

福島の美術家たち III

会期:1991年2月9日-3月17日

 この展覧会は、内外の美術界において目ざましい活動を続けている本県出身、在住およびゆかりのある美術家の制作状況を広く紹介するもので、昭和61年度の第1回展以来隔年に開催し、今回は三回目の展覧となる。
 今回は、日本画、洋画、彫刻、工芸、書の5部門にわたる作家37名の作品で構成されるが、出品者は福島県総合美術展覧会をはじめとする県内外の様々な展覧会にそのすぐれた成果を発表している方々であり、今日の本県美術界の一端を俯瞰するにふさわしい展観となった。
 
 











福島県立美術館
Fukushima Prefectural Museum of Art


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