活動レポート:2009年度

 
 

親と子の美術教室「親子で作ろう!オリジナルクレヨン」



内容:ミツバチの巣を原料としたロウ等を、紙で自由に作った植物や動物、その他様々な形の型に流してクレヨンを作ります。自然な風合いを生かしたオリジナルクレヨンができあがります。
日時:2009年5月5日(火) 10:00~15:00
対象:小学生の親子10組程度
講師:小原典子氏(造形作家)
経費:材料費として一人800円程度

 クレヨンは子供にとっても大人にとっても気軽で身近な遊び友だちのような画材だ。昨年に引き続き、ミツバチの巣から獲れる蜜蝋を使って、親子でオリジナルのクレヨンを手作りして楽しんだ。材料はすべて人体に安全なため、子どもに安心して預けられる。
 作り方は、まず、固形状の蜜ろうをマグカップに入れホットプレートにのせて暖めて液状にしたものを、日本画の顔料と炭酸カルシウムを混ぜたものに入れ、割り箸等でよくかきまぜて溶かす。一度冷ましたのち、さらに油脂(てんぷら油固め剤)を混ぜ、再度暖めてかきまぜながら液状のクレヨンを作る。

   

 次に、紙筒をローラーにして3mm程度にうすく伸ばした油粘土の板を土台に、厚紙で自由に作った型を作る。これに液状のクレヨンを流し込み、固まるまで冷めたら、粘土からはずし、型ごと、水に入れて内部までしっかりと固まるまで十分に冷やす。すっかり固まったら、型からはずして出来上がり。

   
   

*参考までにクレヨン一本分の材料の配合割合は以下のとおり:蜜蝋10g、炭酸カルシウム(またはベビーパウダー5g、顔料1~2g、油脂(またはてんぷら油固め剤)1~2g。
 
 19世紀にチューブ入りの絵の具が発明されて以来、絵の具や画材など、購入して使うのが当たり前になった時代では、それらが何か特別なものと思い込んでいるのは、大人も子供も同じであろう。しかし、絵の具はもともと絵を描くための物質として表現効果や扱いやすさや保存性などを考慮しながら様々な改良、工夫を経て作られてきた。絵の具の特性をより効果的に生かす方法として、合理的に整理し経験的に洗練させたものが「技法」であると捉えると、決められたマニュアルに縛られず、いささかの冒険を恐れずに、描くことを楽しみ、表現欲求に適った探求を可能にするのではないだろうか。絵の具を手作りする経験は、そんなところに効用があるのではないかと考えている。(久慈伸一)
 

実技講座「塊(かたまり)の魅力:人体の彫刻表現」



内容:座りポーズのモデルを観察しながら粘土を用いて量塊感の強い彫刻表現を目指します。最終的に石膏で型取りした後、表面処理の技法を施し、30cm程度の密度ある作品に仕上げます。
日時:2009年5月31日(日)、6月7日(日)、14日(日)、21日(日)
   いずれも13:00~16:30、ただし21日(日)のみ10:00~17:00
対象:一般10名程度
講師:新井 浩氏(彫刻家、福島大学人間発達文化学類教授)

 講座の冒頭で、エミリオ・グレコや桜井祐一、エジプト彫刻の作例写真を見ながら人体の彫刻表現を形態そのものと実際の制作の工程とを考慮して大別すると、<開いたかたち><閉じたかたち>として捉えられるのではないかという説明があった。 
 今回は心材を使わずに粘土だけで造形し、石膏型取りするという一連の工程上の制約の中で、<閉じたかたち>として量塊感を強調した表現をめざすこととした。<開いたかたち>が発散性、解放性をもつのに対し、<閉じたかたち>には凝縮する力、静謐さ、質朴さといった要素がある。
 モデルを見ながら制作する際、(1)対象をどのような基本形態(立方体、三角錐、球体等)に翻訳して形に組み立てるか、(2)形態の塊の成り立ち(例として、隙間を埋めてできたかたちなのか、まわりが窪んでできたかたちなのかなど、形態の形成のメカニズムといったこと)をどのように解釈するか、…といった制作上の留意点、観点が示された。
 次に2時間ほど裸婦のモデルを見ながら、彫塑用粘土を用いて制作に入り、形態を把握するために必要な人はデッサンも行い第一日を終えた。
 第二日目は(1)(2)を念頭に置きながら、さらに新たに加えられた留意点(3)高いポイント、塊の中で最も出っ張ったところに注意して、像を廻しながら粘土を取ったり、付けたりする、ということも含めて制作を進めた。
 三日目は、よい彫刻は余分な複雑な部分を持たない川原の石になぞらえられるという観点から(4)川の流れになり石を彫琢する心持ち・イメージで制作してみようという冒頭のサジェスチョンからさらに制作を進めた。

     

 最終日は、完成した粘土像を石膏で型取る作業を行った。水で溶いた石膏を全体にふりかけ、ある程度の厚みができたらへらを使って1.5cm程度の厚さまで石膏をつけてゆく。石膏が完全に固まったら中の粘土をかき出し、水で洗い出来上がった雌型に洗濯用洗剤をお湯で溶かした離型剤を流し入れ、乾燥させる。石膏を雌型に流し入れ、表面の厚みが十分になったら、補強のために短く切ったサイザル麻の繊維をからめて直径10cm程度の円盤をつくり、石膏に浸して雌型に貼り付ける。さらに十分な強度が保てる厚みまで石膏を流し入れ、完全に固まったら、割り出しのみで化石を掘り出すように雌がたを壊しながらはずした。最後にラッカー塗料やカシュー塗料、ベビーパウダーを使って、ブロンズの質感に仕上げる着色塗装の方法を示されて終わった。
 モデルを見ながら対象を写実的に捉えるにとどまらず、立体造形として、どのように構築するかという高度な課題を含んだ講座であった。(久慈伸一)

     
 

一日創作教室「合板を組み合わせて作る彫刻」



内容:ベニヤ合板(45×60cm、5.5mm厚)を電動糸鋸で切り抜いて組み合わせ、アクリル絵の具で着彩し、立体性と絵画性を併せ持つ彫刻を、各自のテーマやアイディアをもとに作ります。
日時:2009年7月19日(日) 10:00~16:00
対象:一般12名程度
講師:久慈伸一(当館主任学芸員)

 はじめに、美術館ホールに設置されている、佐藤忠良「若い女シャツ」、エミリオ・グレコ「スケートをする女」、マリノ・マリーニ「騎馬像」、ヘンリー・ムーア「母と子:腕」、マリソール「ママと私」の各彫刻作品を前に、それぞれの作品の構造、組み立て、意図などを読み取りながら作品を鑑賞し、作者の様々なアイディア、意図、計略を担って存在する物体として彫刻をとらえるという観点が示された。さらに、ムーアやマリーニの彫刻に見られる量塊や面の組み立てが作る、方向による見え方の違い、面の連続感や不連続感に着目して、合板という平面性の強い素材を用いる際のヒントとした。

   

 続いて、電動糸鋸の使い方の実演の後、参考作品を見ながら、大まかな制作のプロセスと方法が説明された。糸鋸で板を切り出す際に、下図に基づいて計画的に切断する場合と、ほほアドリブ的に板を切り、組み立てるやり方も示された。今回の参加者は皆、計画的に制作することを選んだので、制作は、各自の構想をアイディアスケッチに起こすことからはじまった。出来上がったスケッチをもとに画用紙に各部品を実物大で描き、さらに板どうしを組み合わせる溝を書き加え、カーボン紙をはさんで板に転写し、電動糸鋸で切断した。切り出した各パーツの切断面のささくれを取り、形を整えるために紙やすりをかけ、組み合わせて立体にした。着色が必要な場合は、パーツごとにアクリル絵の具で彩色してから組み立てた。

   

 作品が出来上がってから、参考までに、彫刻の図録にあるキュビスムの彫刻や未来派、構成主義など、20世紀初頭の実験的なヨーロッパ彫刻の作例を見て、素材の用い方やアプローチの仕方がほぼその時代の成果に近いこと、その手法が現在様々に応用されていることを改めて確認した。
 19世紀までの人体を主要なモチーフにした塑像による重量感のある表現とは異なる、20世紀以降の彫刻に特有の、日常に見いだす既成の素材を用いた、現代的な生活感を伴った表現の可能性を気軽に体験する講座だった。(久慈伸一)
 

わんぱくミュージアム「空想動物園をつくろう!」



内容:大きな紙にフロッタージュ(凹凸をこすり出す技法)したり、コラージュ(貼り合わせる技法)したり、アクリル絵具などの画材も使って、空想を巡らせて「動物」を描きます。完成後、前庭や館内に展示して鑑賞しよう!
日時:8月9日(日) 10:00~15:30
対象:小学生16名程度
講師:橋本淳也(当館主任学芸員)

 凹凸のあるものに薄手の紙をあてて上から鉛筆やクレヨンでこすって形を写しとる「フロッタージュ」は、身近な画材で短時間に制作できる事もあり、作品制作ではなくても遊びの中で誰もが一度は経験したことがある技法ではないだろうか。
 はじめに、ウォーミングアップとしてB4判の紙にクレヨンで「木の葉」と「金網」を使ってフロッタージュした。紙の下に置いたものと紙がずれないように手で押さえながら、クレヨンを軽く一定方向に隙間ができないように動かして、形全体が見えるまでこすっていく。途中からクレヨンの色を変えてグラデーションをつけたり、一度写しとった上に別の色のクレヨンで重ねて写したり、規則的に紙をずらして模様を連続させたり…いくつかの方法を試していくうちに技法のコツをつかんでいった。
 次に展示室でのマナーを確認して、企画展示室に移動。展示室に並んでいる作品の中から「フロッタージュ」の技法を使って制作された作品(エルンスト版画集「博物誌」)を探す。作品を見つけたこども達は、異質な物体の「形」や「模様」「質感」が組み合わせられてできた不思議な動・植物や幻想的な風景を目にして、画面を指さして何をフロッタージュしたのかを想像したり、作品の印象について話しながら鑑賞していた。

   

 制作は、フロッタージュしたイメージを組み合わせて「動物」に見たてたり、逆に「動物」のイメージに合った形・質感を探していく方法などやりやすい方法で、実在の動物の形や色にとらわれずに進めることとした。
 94×94(cm)の用紙と12色セットのクレヨンを手に持って、実習室だけでなく美術館内のあちこちの壁や床、天井、クロス、標示物、点字ブロック、スピーカーや通気口のカバーなど…凹凸のあるモチーフを探した。大きな紙を広げてダイナミックにフロッタージュして制作を進めていった。
 「動物」の形が出来たら用紙を輪郭線にそってハサミで切り抜き、支持体の「発泡スチロール板」91×91×厚さ3 (cm)に木工用ボンドをローラーで塗って貼り付けた。接着剤が乾燥したら軍手をはめて、スチロールカッターで輪郭線にあわせて切り抜く。更に必要に応じて作ったパーツを切り抜き、コラージュしたり、部分的にクレヨンやアクリル絵の具で加筆・彩色してそれぞれの「動物」を作品に仕上げた。

   

 当日の天候はあいにくの雨模様で屋内のみでの活動になってしまったが、最後に美術館のエントランスホールに全員の作品を並べて展示して、みんなの「空想動物園」をつくり鑑賞した。
 形や色だけでなく、フロッタージュは繊細な触感のニュアンスや視覚的な質感を表現するのに有効な技法であることを改めて認識することができた。(久慈伸一)
 

技法講座「自然の絵の具箱」



内容:近代以前、絵の具は画家の手作りでした。石や土、植物など自然の素材から古い時代の絵の具をつくり、木の板に描いてみます。
日時:2009年9月12日(土) 13:30~16:30、9月13日(日) 10:00~15:00
対象:一般15名程度(申し込み多数の場合は抽選)
講師:関根秀樹氏(和光大学・桑沢デザイン研究所非常勤講師)

     現在ではチューブ入りの絵の具が販売されているのが当たり前の様になっているが、歴史的に見るとこれはごく最近のことで、近代以前には絵の具は鉱物・植物・動物などの自然素材から画家や工房によって手作りされてきた。古来より人間は色彩に対しての強い欲求を満たすために、試行錯誤を積み重ねて「絵の具」を開発してきたのである。
 今回は古代技術史や素材学を研究している講師から、絵の具を作って描く体験を通してその組成や成り立ちを学んだ。

 絵の具は「色材」(顔料・染料)と「展色材」(糊の役割を果たすもの)とで構成される。展色材によって光沢の有無、堅牢性、伸びやこし、透明度、乾燥速度といった性質が異なり、絵肌や表現効果の違いに現れる。

 1日目は絵の具(水彩・日本画・テンペラ・油絵)の展色材についての話から始まった。『豆科の植物の樹液(アラビアゴム)だけでなく、桃や桜などの広葉樹やタンポポの樹液が水彩絵の具の展色材として使用できる』事や『油絵の具の起源は14世紀フランドル地方のファン・エイク兄弟によるものとされてきたが、7世紀や3世紀のアジア・日本で油絵の具による作品が発見されている』話など、絵の具にまつわる常識が覆されるエピソードが紹介された。
 続いて以下の(1)~(3)の方法で作った3種類の絵の具でB5判のイラストボードなどに色見本を作る実習を行った。
 (1)市販のチョーク3色(赤・青・緑)をそれぞれ乳鉢ですりつぶして絵皿に取り、デンプン糊を加え絵の具を作ってベニヤ板の素地に描いたり、砂を加えて粒状の凹凸のある絵肌を作った。
 (2)非吸水性の紙『リペルペーパー』に『木酢液』を塗ると、紙に浸透することなくはじかれたタッチが残る。乾かないうちにスポイト状の容器に入った界面活性剤入り絵の具『リペルマチエ』(半透明・青・黄)を垂らすと、微細な毛根が伸びていく様に絵の具が放射線状に広がり独特の表情を見せた。
 (3)植物から絵の具を作る体験。美術館前庭から採取した植物の葉をハサミで細かく裁断し、乳鉢ですりつぶしてできた絞り汁を絵皿にとって描く。
 また顔料として使用可能な鉱物を判別するために鉱物を素焼きの磁器にこすりつけて残る色(条痕色)から判断する方法など、受講者のさまざまな質問に即座に応じて実演・紹介された。

    

 2日目は12種類の鉱物から絵の具を作って描いてみる。白【ドーバー産の白亜】、黒【黒鉛、石炭、砂鉄】、緑【マラカイト、キプロス産の緑土、緑青】、青【アフガニスタン産のラピスラズリ】、黄【黄土】、赤【イースター島産の赤土】、赤茶【ヘマタイト】、パール【福島県石川町産の雲母】を使用した。『同じ名称の黄土でも産出される地域の土の含有成分などによって色合いが変化する』など顔料の素材、色名、産出先、特性、毒性、歴史などのさまざまなトピックが紹介された。
 ラピスラズリ、マラカイトなど硬い鉱物は金槌で粉砕してから、比較的柔らかい鉱物はそのまま乳鉢ですりつぶした。粉粒状の顔料を絵皿に取り、『アクアグルー』という商品名の展色材を1:1の割合になるように加え、更に水を数滴加えて粘度を調整した。この絵の具は、水溶性で固着力が強く、乾燥すると日本画の絵肌のような風合いに仕上がる。
 途中、参考作例として関根さんが作った楽器『うなり木』(ひもの先に笹の葉型の木片がついておりグルグルと振り回して音を出す道具。オーストラリアのアボリジニは『チュリンガ』と呼びとても神聖な意味を持つ)を披露。他にも数種類の民族楽器を原型とする関根さん制作の楽器が演奏・紹介された。
 分担して作った12種類の絵の具を取り分けて、木材(300×50×5mmアガチス材)に描画。板材を『うなり木』や置物などに加工して着彩する受講者もみられた。板材に下地に白亜を塗って発色を高めたり、雲母を混ぜてパールカラーを作ったり…それぞれに効果を確かめながら手づくりの絵の具の色味や感触を堪能することができた。自然の素材から絵の具を作って描く体験を通して、美術の側面ばかりでなく人間の営みの原点にも思いを巡らせる講座となった。(橋本淳也)

    
 

親と子の美術教室「恐竜のたまごをつくろう!」



内容:水と混ぜると固まる白い粉=石膏をゴム風船に流し込み、回しながら成形して大きな卵をつくってみよう!どんな恐竜が生まれてくるかを想像しながら、模様などをアクリル絵の具で彩色して仕上げます。
日時:2009年10月4日(日) 10:00~16:00
対象:小学生と保護者14組程度(申し込み多数の場合は抽選)
講師:天形健氏(福島大学人間発達文化学類教授)

 恐竜の卵作りは次のような手順で行った。
(1)石膏を溶いてビニール袋の先にプラスチックのパイプを接着して作ったロウトに入れ、ロウトの口を風船の口に差し込んで石膏を注入する。
(2)石膏を入れた風船をバットの水に浮かべながら、風船の口からストローで、息を吹き込んで膨らませ、口をしっかり結び密封する。
(3)風船をまわしながら厚みが均等になるように固まらせる。
(4)ある程度固まったら、水を張ったバットに浮かせて完全に固まらせる。
(5)風船の結び目をハサミで切って薄い石膏の卵が壊れないように切り取る。
 こうして作った卵は、石膏の割れ目や亀裂が自然に割れた感じに壊れて、あたかも本物の卵のように見える。壊れにくい厚い卵を作っても自然な雰囲気が出ないのでほどよい薄さにするところが肝腎である。

    

 次にできた卵を見ながらそこから何が生まれてきたか、イメージを膨らませて、石粉の混ざった紙粘土で恐竜に拘わらず自由に想像して作り、卵と組み合わせて、水性の絵の具で彩色した。
 石膏の卵の有機的な形体と自由に粘土で作るかたちの組み合わせが、参加者の想像力とモチベーションを喚起して、遊びと熱中が入り混じるうちに制作が続けられた。(久慈伸一)

   
  
 

技法講座「ステンドグラスのサンキャッチャーを作る」

 

内容:ステンドグラスの簡単な技法ティファニー工法でサンキャッチャー(窓飾り:20×20cm程度)を作ります。
自由に考案したり見本から選んだデザイン(15ピース程度)をもとに色の付いたガラスをカットし、銅テープを巻きハンダ付けして仕上げます。
日時:2009年10月24日(土)、25日(日)各10:00~16:00 *2日連続
対象:一般15名程度(申し込み多数の場合は抽選)
講師:仲澤勉氏(ステンドグラス作家)

 窓際に飾り、自然光を通して美しい光を放つステンドグラスを制作した。
はじめに、ガラス切りを使ってガラスをカットする練習を通し、技術的に、直線的な形より、曲線的で複雑な形体を作ることの難しさを体験した。この体験を通して、技術的に可能なオリジナルなデザインを作ったり、見本のデザインから選択して制作を進めていった。   
 制作は以下の手順で行なわれた。

(1)デザインした紙を2枚コピーし、1枚は色分けに使い、もう一枚は、厚紙にペーパーボンドで貼り付け、ハサミで切り型紙にする。

(2)型紙をもとに油性のサインペンでガラスに形を写してカットする。

(3)カットしたガラスを食い切りやガラス研磨機でデザインどおりの形に修正する。

(4)ガラスのピースの側面に銅のテープを接着する。このときピースにガラスの粉が付着しているとテープがつかないのできれいに拭き取っておく。

(5)しっかりとテープを接着させるために、割り箸でしごく。

(6)テープを巻きつけた各ピースを並べ、出来上がりの形に隙間を調整し、ハンダで接着していく。
 このときステンドグラスを吊るすためのチェーンをつけるフックも接着する。

(7)ハンダ付けで付着したヤニなどの汚れを水につけながら金ブラシで落とす。

(8)ハンダの部分にフラックスを塗り、黒く腐食し、水でよく洗い、拭いてから腐食したハンダの部分にステンドグラス用ワックスを塗る。

(9)フックにチェーンを取り付けて完成。(久慈伸一)

   
   
 

わんぱくミュージアム「形の変わる絵を作ろう!」

  

内容:厚紙を使って、人間や動物では顔や手足を、鳥や昆虫では羽根などを動かせるように工夫して作りパネル(25.7×36.4cm程度)に貼って形を変えられる絵を作ります。
日時:2009年11月8日(日) 10:00~15:00
対象:小学生15名程度(申し込み多数の場合は抽選)
講師:久慈伸一(当館主任学芸員)

 見て楽しむだけでなく、パーツを動かしてあそぶことができる絵を以下の手順で制作した。
(1)絵のアイディアを考え、下絵を描く。
(2)各部分ごとにトレーシングペーパーに写す。
(3)トレーシングペーパーの図柄をカーボン紙を使って厚紙に写す。このとき手芸用のカシメを打つ孔の位置も描いておく。
(4)下絵を写した状態でカシメの孔をポンチであけておく。
(5)厚紙をハサミで切り、動かせる部分を重ね、直径9mmのカシメを打つ。
(6)パネルと厚紙に色を塗る。
(7)厚紙に1.5~2cm角のバルサ材を適当な長さに切り、瞬間接着剤で接着し、それをパネルに貼り付けて完成。

 
 

 パーツを動かして遊べる絵は、絵の中の世界に入り込み、登場人物やもの・物事などになりきるなど、絵と強く感情移入してコミュニケートできるツールである。絵を描いて、見るだけでなく、遊べることは、出来上がった自分の作品を自己検証する行為に自然なかたちで導くと思われる。おそらく自作でどのくらい楽しめるかといった率直で素朴な自己評価の体験は、他者の創作の受容と鑑賞に繋がる契機となり得るのではないか。
 制作と鑑賞を教育システムの合理性や便宜的要請から別々なカテゴリーのように分けて扱う場合も、例えば、個別としての存在が他者との関係、ひいては既成の文化的遺産・情報とどのように関わり得るのかといった、様々な微妙な問いかけを常に前提として共有することが欠かせないように思われる。(久慈伸一)

  
  
 

親と子の美術教室「木のおもちゃを作ろう!」

    

内容:電動糸のこを使って、木でやじろべえなどのバランスおもちゃを作って遊びます。
日時:2009年12月6日(日) 10:00~15:00
対象:小学生の親子10組程度(申し込み多数の場合は抽選)
講師:古川英樹氏(日本おもちゃ会議会員)

 はじめに針葉樹、広葉樹のちがい、伸縮する素材としての性質など、木にまつわる様々な話のあと以下の材料と手順で、やじろべえの原理を使ったバランスおもちゃを制作した。

(1)人や動物など、おもちゃ本体の図柄の下絵を紙に描き、板(10×20×2cm厚の桂材)にスプレーのりで貼りつける。
(1)下絵に沿って電動糸鋸で板を切断する。
(2)切断した部材に紙やすりをかける。
(3)台座のかたちを米松の板(13×31×2cm厚)から電動糸鋸で切り出し、支柱となる丸棒(1cm径、長さ42cm)を台座にドリルで穴をあけて差し込む。
(4)支柱に乗せるおもちゃ本体に3mm径の穴をあけ、竹ひごをさしこむ。
(5)支柱に乗せるかたちに2mm径の穴をあけ、やじろべえの腕にするステンレスの針金を差込む。
(6)部品にも穴をあけ、ステンレスの腕をつけて、どのようなバランスにしたら面白いか、腕を曲げたりしながら調節する。
(7)ウッドカラー(木材用水性着色料)で色をつける。

 受講者は、講師のマンツーマンに近いサポートを得ながら、おもちゃ本体と腕につけるかたちのアイディアを考え、バランスのとり方を試行錯誤して見つけ出すなど、子供は子供なりに親は親なりにそれぞれの思いや体験にもとづいて創意工夫しながら木のおもちゃ作りを楽しんだ。(久慈伸一)

   
   
 

実技講座「ガラスモザイクの魅力」

 

内容:イタリア製のモザイク用ガラスチップを使って、模写あるいは持参したデザインを用いて制作します(大きさB4判程度のパネルを使用)。
日時:2009年12月13日(日)、19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)
   毎回10:00~16:00 *5回連続
対象:一般15名程度
講師:森敏美氏(東北生活文化大学教授)
経費:材料費として一人5,000円程度

 モザイクは石やガラス、タイルなどの小片を並べて模様や絵を作る技法で、古代ギリシャや古代ローマ、ビザンチンの時代に盛んに作られ、建築物の床や壁の装飾に用いられた。
 今回は扱いが簡単で色鮮やかな効果を期待できるガラスモザイクの制作をした。

   

 制作の手順は以下のとおり。
(1)原画をカーボン紙を挟んでパネル(当初の予定より大きなA3判のパネルを使用)に写し取る。
(2)絵柄をもとに色のついたガラスを必要な大きさにカットして並べる。
モザイク用ガラスは、イタリア製の2cm角のスムースタイプで、これを4等分にしたものを基本形として用いた。ガラスのカットには、ペンチに似たモザイクチッパーという道具を使用。ガラスで絵柄を作る並べ方には3種類の基本がある。同じ辺どうしを連ねるように並べる芋目地、レンガを積むように辺をずらして並べる馬目地、各ピースの形に従って自由に並べる乱貼りの手法で、これらをそれぞれの作品のデザインに合わせて使い分けた。
(3)ピースの並びが決まったら木工用ボンドで目地の隙間を意識しながら貼り付けていく。
(4)モザイク用の目地セメントをゴムべらを使ってモザイクの上から塗って目地につめ、余分なセメントをゴムベラで取り、ガラスの表面のセメントを布で拭き取り、セメントが固まったら完成。

    

 ガラスは色数が多いことから、グラデーションの効果のみならず、ガラスの色彩のコントラストを生かすなど、石に比べ表現の幅が広い反面、ガラスの選択や配置の妙で結果が大きく左右される。
 モザイク本来の魅力は、適度な大きさのガラスチップの配列が作り出す、視覚を刺激するリズム感といった独特の感覚にある。
 モザイクが石やガラスの小片といった、人間の視覚に心地よい、程よい大きさのデジタル的な要素で画面が構成される点に着目すると、スーラやセザンヌ、ゴッホなど、いわゆる西洋の近代絵画と呼ばれる表現が、モザイク表現の伝統の先に極めて自然に発生してきたように思われてしまう。(久慈伸一)
 

一日創作教室「光を描く―メゾチント入門」


左上:ロッカー 右上:版(刻目プレート) 下:スクレーパー・バニッシャー

内容:メゾチントは光と陰影の美しい階調を表現できる凹版画の技法です。刻目プレートを使い、お気に入りの小物や写真を元にしてモノトーンの小さな作品に仕上げます。
日時:2010年1月31日(日)10:00~16:00
対象:中学生以上一般14名程度
講師:橋本淳也(当館主任学芸員)

 「メゾチント」(mezzotint:英)は「中間の調子」という意味の凹版画技法で、紙の白から黒までの幅広い階調表現ができるため「マニエルノアール(黒の技法)」とも呼ばれる。発明された当初は主に絵画の複製技法とされていたが、長谷川潔や浜口陽三などの功績もあり、現在ではこの技法で多くの芸術作品が作り出されている。
 制作の第一工程としてロッカー(※1)やニードルなどで、縦・横・対角線の各方向に平行な点線や直線を密接に刻み、均一なキズ(溝)をつけて目立てを施す。(この状態でインクをつめて紙に刷ると真っ黒な状態に刷り上がる。)
 次の工程で、目立てをした版面に、『黒い画面に白で描く』要領で白く(明るく)したい部分だけを三角垂状のスクレーパーの稜で削り取り、ヘラ状のバニッシャーでつぶし、機械油をつけて磨くことで図像を表わす。版にインクをつめて拭き取り、プレス機で圧をかけて紙に刷り上げると、最も磨かれた部分は白く、キズ(溝)を完全に残した部分は黒く、その間に磨き加減によって無限の階調が表れる仕組みである。
 この講座では第一工程は実演・紹介のみで、75×130または130×150mmのアルミ製の刻目プレートを使って描版の工程から制作した。
 はじめにメゾチントによる長谷川潔の《狐と葡萄(ラ・フォンテーヌ寓話)》を鑑賞した後、以下の工程で制作をすすめた。

    

(1)道具の使い方を試しながら、版にプレートマーク(※2)をつくる。
(2)黒画用紙に白のダーマートグラフで、モチーフの白い(明るい)部分だけをスケッチしてみる。
(3)版面にカーボン紙で下絵を転写する。
(4)スクレーパー、バニッシャーで描版。より白く(明るく)したい部分は深く削り、磨く。
(5)版面にインクをつめ、寒冷紗やウエス、綿棒などでインクを拭き取る。
(6)湿しておいた版画用紙(アルデバラン)を版に乗せ、プレス機を通して刷る。
(7)作品にヨレ、シワができない様に、用紙の四辺をセロテープで「水張り」した状態で乾燥させる。
(8)刷り上がりを確認して、さらに版を修正・描版を進める。
(9)(5)~(8)と同様の工程で刷りをすすめる。完全に乾燥したら完成。

    

 一般的に「白い用紙に黒で陰影を描く」経験はあっても、その逆に「黒い画面に白で光を描く」経験は少ない。実際に手を動かしてみると、その感覚になかなか慣れずに戸惑うものである。厚さ数mmの版と「対話」するようにして階調を作り、「描版」と「刷り」を交互に繰り返して、作品をイメージに近づけるべく黙々と制作に集中していた。一人3~4点の作品を刷り上げ、最後に額装やサイン、エディションなど版画作品の完成後の話をして講座を終了した。(橋本淳也)

    

※1:「ロッカー」目立て用の専用機具。「ゆりかご」の意味の名前を持つ通りゆらしながら使用する。
※2:「プレートマーク」プレス機を通す時に用紙が破れない様に、版の四辺を幅2~3mm程度削ってつける傾斜。
 

実技講座 「水墨画の可能性」


三瀬夏之介「ぼくの神様」2007年

内容:漫画などの模写と運筆法を通して水墨画の基礎を学び、20号サイズ(72.7×53.0cm)の作品を制作します。
日時:2010年2月27日(土)、28日(日)、3月6日(土)、7日(日)
   土曜日13:30~16:30、日曜日10:00~15:30 *4回連続
対象:一般12名程度
講師:三瀬夏之介氏(東北芸術工科大学芸術学部日本画コース准教授)
経費:材料費として一人6,000円程度

 水墨の魅力は、墨の濃淡や筆の勢いが作る、繊細かつ大胆で奥深い自由な表現にある。
 第1日目のはじめに墨と硯の使い方を習った後、江戸時代の白描画(墨の線で描いた作品)の模本を薄美濃紙に面相筆で模写した。さらにそれに、現代の漫画のコピーを拡大したものの模写や自分のオリジナルな絵を描き加えて一つの画面にした。

    

 第2日目は、まず20号のパネルに福井県今立町産の雲肌麻紙を水張りする作業を行った。次に水墨の基本的な様々な筆法・・・縦、横、斜め、点、横点を描いたり、筆圧を調整する練習や、様々な方向から筆を入れて抜く練習、筆の軸を回転させながら、なめらかな曲線をひく書法を体験した。
 また、水を着けた筆の穂先に濃い墨をつけ、なじませて濃淡のある線をひく方法やたらしこみ(予めたっぷりと水で濡らした部分に墨を落としてできるにじみの効果を得る技法)など、墨・水・紙とが出会う水墨ならではの、にじみやぼかしを使った様々なグラデーションの技法を体験した。さらに、それらの技法を用いて、筆触や濃淡が和紙につくるかたちを、つくし、めだか、竹、笹など具体的なイメージに見立てて描いてみた。
 次いで1日目の白描の模写をもとに描いた作品に、この日試した技法で濃淡を描き入れた。

    

 第3日目は、はじめに、模写をもとに描いた作品を裏打ち(作品に別の和紙をのりで貼り付け補強を施す)して完成させた後、20号のパネルの制作に入り、受講者が用意した下絵や下絵の拡大コピーをもとにパネルに鉛筆等で下書きし、水墨の技法で描き進めていった。パネルに張った厚く丈夫な雲肌麻紙は、にじみどめのドーサがひいてあり、シャープな線描表現から、濃淡を生かした表現まで、描き込みながら画面を作ることができる。
 第4日目は前日の制作を継続し、最後にそれぞれの作品を講評して終わった。
 これまで趣味的なジャンルのように見られがちな水墨画も、支持体の選択や他の素材との併用、現代的なテーマの設定など、既成の枠にとらわれないアプローチにより、今だからこそ、様々な可能性があるように思われた。(久慈伸一)

    
 

わんぱくミュージアム「長~い絵を描こう!」



内容:ペンやクレヨン、スタンプなども使って長~い絵を描きます。お話を読み進んでいくように…どんどん続けて描いてみよう!
日時:2010年3月22日(月・祝)10:00~15:30
対象:小学生16名程度(申し込み多数の場合は抽選)
講師:橋本淳也(当館主任学芸員)

 この教室では28×600cmの細長い用紙を準備した。巻いておいた用紙を転がしながら広げて見せると、予想以上のサイズに驚きの声があがっていた。
 事前連絡でお気に入りのおもちゃや図鑑、写真など、絵に描いてみたいモチーフの資料になるものを準備してきてもらった。画面は縦・横どちらに使っても良いので、自分の好きなモチーフを起点にして、発想の展開するままに落書きする様な気軽さでどんどん描いてみることにした。制作のヒントとして…(1)自分の好きなものを長~く描く。(2)自分の好きなものをたくさん描く。(3)自分の好きなものを主人公にしてお話の続きを描く。言葉や台詞を書いてもよい。…など、色々な描き方ができることを簡単に紹介した。

     

 実際にはこの用紙を四つ折りにして、描き終えたら巻き取って送り、また描き終えたら巻き取って送りしながら制作をすすめていった。
 画材は「鉛筆」「色鉛筆」「クレヨン」「カラーペン」「ポスターカラー」から自由に使って描いた。また3mm厚の梱包用「ポリエチレンシート」をハサミや料理用の抜き型で好きな形に抜いたものを「発泡スチロール板」に貼りつけ、持ちやすい形にスチロールカッターで切り抜いてスタンプを作り、カラースタンプ台やポスターカラーで色をのせて画面に押しつけて画材と併用した。
 6mの大画面はもてあましてしまう子供もいるのではないかと心配していたが、要らぬ心配だった様である。初めのうちは戸惑いもあったが、色々な画材を試し、併用しながら徐々に大胆に手が進む様になっていった。
 「好きな鳥や動物をたくさん並べて描く」「スタンプで作ったキャラクターを主人公にした物語の場面」「巨大なタンカーを画面一杯に描く」など、子供達の思い思いの世界が展開されていった。

 ひと通り作品が描けたら「実習室」から「講堂」に移動して作品を広げてみる。細長い画面は一度には視界に入らないので、おのずと移動しながら鑑賞する事になる。移動しながら作品を見ていくと、制作の過程や様々な思考の展開やストーリーが読み取れて面白かった。制作スペースでは作品を広げて全体を見ることができなかったので、逆に自分の描いた作品が新鮮に映っていた様である。描き足りないところがあれば「実習室」に戻って更に制作を進めた。

     

 作品が描きあがったら、「天(巻紐)」「地(軸)」を糊付けし、水張りテープで接着して、絵巻物風の装丁に仕上げ、巻き取って完成した。

 最後に、この教室で体験してもらった「長~い絵」は、絵巻や巻物と言い、実は「古来からある伝統的な絵画様式で、巻いてコンパクトに収納でき、季節や慣習に応じて飾る習慣があること」「ストーリーや時間の流れが表現されている作品があること(日本の場合、本やマンガと同様に右上から左下へ展開するのが一般的であること)」などを紹介して終了した。(橋本淳也)
 

美術館・図書館連携事業「アートな おはなしかい」



内容:となりあう両施設を移動しながらアートに関する本や作品との新鮮な出会いを楽しむプログラム。図書館では絵本の読み聞かせと美術や工作についての本の紹介。美術館では鑑賞用補助教材アート・キューブを使った作品鑑賞会「キッズ・レクチャー」を行います。
日時:2009年7月25日(土)
   午前の回=10:00~12:00、午後の回=13:00~15:00
対象:小学生と保護者 午前の回=28名、午後の回=27名
案内:真柴 毅氏(福島県立本宮高等学校教諭) 
   相馬 亮氏(桜の聖母学院中・高等学校教諭)
   奥山陽介氏(桜の聖母学院小学校教諭) 
   松浦 健氏(福島市立森合小学校教諭)
   佐藤真理恵、小林沙織(福島県立図書館司書)
   橋本淳也、吉村有子(当館主任学芸員)

 県立美術館・図書館共催の夏休み恒例のこども向けプログラム「アートなおはなしかい」は4回目を迎え、今回は“形”をキーワードに開催した。
 はじめに図書館で、美術館に作品を展示中の元永定正の描いた絵本『もこ もこもこ』を読み聞かせし、『くものかたち』『昆虫の擬態』など“形”にまつわる本を紹介。こども達は穏やかな表情で静かに聞き入っていた。
 続いて、教科書でもお馴染みのレオ=レオニ作『スイミー』を読み聞かせした。そして、75×180cmの大きな画面を「海」に見たて、一匹で泳ぐ小さな黒い魚「スイミー」の周りに、あらかじめ準備しておいた発泡ポリエチレン製「魚スタンプ」を赤いインクで何回も押した。こども達全員が協力して画面いっぱいに「赤い大きな魚」の形に仕上げ、絵本の世界を再現した。(この作品はプログラム終了後から夏休み期間中、県立図書館に展示した。)

   

 連絡通路を通って図書館から美術館へ移動。展示室での3つのマナー(1)作品にはさわらない。(2)ゆっくりと歩く。(3)小さな声でお話する。 を確認。ただし(3)は参加している人には聞こえる位の声で話し、人が話している時には話を聞くことを約束した。2グループに分かれて「キッズ・レクチャー」。
 Aグループは前半、エントランスホールでマリーニ《騎手》を鑑賞。こども達は「彫刻」「立体」という言葉もはじめて耳にする年齢なので、みんなで作品の周りを歩いたり、立ったり座ったりして、いろいろな角度から作品を鑑賞して絵=平面作品との違いを体感した。そして「人形キューブ」の「人形」と「木馬のおもちゃ」をマリーニの代表的なモチーフである抽象化された「騎手」と「馬」に見立てて同じポーズをとらせるゲームをし、作品の前に展示して見比べながら鑑賞した。
 後半は企画展示室へ移動して「おみくじキューブ」を1人1回引いた。それぞれが引いた形容詞のイメージに最も印象が合うと感じる作品1点を展示室内を歩きながら探し、選んだ理由を考えて、作品の前で1人ずつ発表した。
 Bグループは前半、企画展示室で「感覚キューブ」のマークのうち、視覚以外の「感覚」をキーワードに展示室に並んだ作品の中から1作品を選んだり、キューブをサイコロの様に振って出たマークの感覚で作品から受ける印象を想像したりして対話しながら抽象画の鑑賞にチャレンジした。
 後半は、エントランスホールでマリーニ《騎手》、ムーア《母と子:腕》、マリソール《ママと私》を見比べて鑑賞。離れて見たり、近づいて見たりしながら彫刻作品の印象や表面の質感の違いを比較して「素材キューブ」の中から作品に使われている素材を当てるクイズをした。8種類の素材に触って重さや肌触りの違いを感じ、彫刻作品がどのような工程で作られているのかを聴いた。

   


「人形キューブ」
7cm角の立方体に全高12cmの球体関節人形が入っていて、思い通りのポーズをつくることができる。

「おみくじキューブ」
7立方体に20本のおみくじ棒が入っていて「やわらかい」「つめたい」などの形容詞が書かれている。

「感覚キューブ」
立方体各面に目(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・口(味覚)・手(触覚)・電球(第六感)が描かれている。

「素材キューブ」
立方体の中に2cm角の彫刻や、工芸作品などに使用されるいろいろな素材が8種類入っている。

 午前・午後と同様に2時間と長時間のプログラムではあったが、こども達は見る・聴く・触れる・感じる・考える・表現する活動を楽しんでいたようである。今回ボランティアで一緒にプログラムを進めていただいた先生方に心から感謝したい。(橋本淳也)
 
 











福島県立美術館
Fukushima Prefectural Museum of Art


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